さよなら、片思い【完】
駅に着くと先に由香里さんたちテニスチームが戻っていた。


「おかえり!唯ちゃん。軽井沢デート、どうだった?」


「楽しかったですよ!由香里さんたちはテニス、どうでした?」


「白熱バトルだったよ!あたしとゆかりんの圧勝!」


「充なんて余裕で勝てたね!」


はしゃいでるふたりとは対照的に杉田くんはガックリと項垂れている。


どうしたんだろう?


「どこが白熱バトルなんだよ〜。2対1で完全に俺に不利じゃねぇか。あぁ、疲れた」


「ジジィだな。充」


「お前はいいよな〜、哲。唯ちゃんとしっぽり軽井沢デート」


羨ましい!と叫ぶ杉田くんに笑顔を見せる上原くん。


その光景を笑いながらからかう由香里さんと仁奈さん。


本当、みんな仲良しだな。


「あれ、そういえば大志は?まだ戻って来てねぇの?」


上原くんが杉田くんに尋ねると杉田くんが時間を確認する。


「まだ来てねぇけど。そろそろ時間だぜ?あいつ、どこまで女の尻追いかけてんだか」


仁奈さんが電話を入れようとしたとき、


駅の入り口から手を振ってこっちにやってくる大志くんの姿が見えた。


「大志、おっそーい!今電話入れようとしてたんだよ!?」


仁奈さんがスマホ片手に頬を膨らませると大志くんは「悪い悪い」と言いながら大して悪びれた様子もなく謝ってきた。
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