さよなら、片思い【完】
「で、遅刻してきたからには軽井沢の美人なお姉さん何人ゲットできたんだよ?」


杉田くんがからかうようにそう聞くと大志くんは大きく笑い、その笑いがぴたりと止み辺りがシーンと静かになる。


「…聞くんじゃねぇ」


大志くんのその発言に全員があぁ、ムリだったんだと悟った。


こうしてわたしたちの軽井沢の旅行は幕を閉じた。



「ありがとう、送ってくれて。家、寄ってく?」


みんなと駅で別れたあと上原くんに家まで送ってもらったわたしは彼にそう尋ねた。


「いや、今日は帰るよ。さすがに疲れたし、お土産、家族に渡さなきゃ」


「そっか…」


楽しかったあとって一人になるのはちょっと寂しい。


本当にちょっとだけだけど。


「じゃあ、おやすみなさい」


「おやすみ。…あっ、唯!」


「なに?」


家に入ろうとするとき上原くんに呼び止められた。


「これ、俺から唯への軽井沢のお土産」


上原くんがわたしに渡してきたのはたくさんの星空がキラキラと描かれている小さな包み紙。
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