恋桜
僕はカフェに入るとすぐに
「大嶋さん、タオル貸して」
大嶋さんはいつもやる気のない僕にこんな行動力があったの…っという顔で見つめていた。
君を僕が座っていた席の前に座らせた。
「タオルどうぞ」
君はタオルを受け取るとゆっくりと体を拭きはじめた。
大嶋さんが気を利かしてココアカプチーノを持ってきた。
「ここのココアカプチーノはあったまるし、元気がでるよ」
「…」
君は何も答えず一口口にした。どれくらいの時間が経ったか覚えていない。
大嶋さんがこんな僕らを見兼ねて声をかけた。
「何かあったんですか?」
君は黙ったままだった…。
「ココアカプチーノありがとうございました」
と、君は沈黙から逃げるように急に席を立った。
「名前だけでも教えて下さい」
僕は慌てて君の背中にふっと浮かんだ質問を投げつけた。
「…赤穂香苗」
と小さな声で答え店を出て行った。
大嶋さんが
「何だったの、あの子」
と不思議そうな顔をしていたが僕は君が見えなくなるまで動けずにいた。
「大嶋さん、タオル貸して」
大嶋さんはいつもやる気のない僕にこんな行動力があったの…っという顔で見つめていた。
君を僕が座っていた席の前に座らせた。
「タオルどうぞ」
君はタオルを受け取るとゆっくりと体を拭きはじめた。
大嶋さんが気を利かしてココアカプチーノを持ってきた。
「ここのココアカプチーノはあったまるし、元気がでるよ」
「…」
君は何も答えず一口口にした。どれくらいの時間が経ったか覚えていない。
大嶋さんがこんな僕らを見兼ねて声をかけた。
「何かあったんですか?」
君は黙ったままだった…。
「ココアカプチーノありがとうございました」
と、君は沈黙から逃げるように急に席を立った。
「名前だけでも教えて下さい」
僕は慌てて君の背中にふっと浮かんだ質問を投げつけた。
「…赤穂香苗」
と小さな声で答え店を出て行った。
大嶋さんが
「何だったの、あの子」
と不思議そうな顔をしていたが僕は君が見えなくなるまで動けずにいた。