うさぎの小箱~【鍵つき】短編集~
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――――10年前。
「…………ママとしろうさは買い物だし………退屈だから公園でも行くか?」
仕事が休みのハルが、ガチャガチャとブロックを組み立ててる時にそー言った。
「…………いく。」
ブロック飽きてたし、外に行きたいから…うなずいて、ガチャガチャとブロックを片付けた。
「えらいな?……片付け終わったら行こう。」
「んー。」
ハルはおれの頭をいっかい撫でて笑う。
ハルにほめられると、なんだか嬉しくておもちゃをちゃんとキレイに片付けた。
ハルはおれの、おとうさん 。
小学校の同じクラスのヤツから、『藤間くんのパパかっこいい!』っていっつも言われてる。
幼なじみの嵐(ラン)の姉ちゃんの美華(ミカ)なんか、『ハル兄と結婚する!』ってウルサイ。
ハルはうさ…おかあさんが大好きだから美華はいっつもすねてる。
動物のお医者さんで、おっきくて、なんでもできる。
おれはおっきくなったらハルになりたいって思ってる。
でもおっきくなってハルになっても……美華はウルサイからいらないけど。