死のスケッチブック
真名が渋い顔で言うと、魅弦は手元の現金の束を見た。

「報酬って、コレだろう?」

「それは筆の礼だ。スケッチブックの礼はバイトをすることだと、お前が言ったんだろう?」

そこで真名は息を吸って、一度止めた。

そして真っ直ぐに魅弦の眼を見て、呼んだ。

「魅弦」

僅かに魅弦の眼が揺らいだ。

「真名…」

互いの名を呼ぶことは、一応信頼関係ができたということ。

そして縁ができたということだ。

「さあ、これで契約は交わした。お前が何か悪行をしようとしたら、遠慮なく止められる立場となったわけだ」

「えっ? もしかしなくても、目的それ?」
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