秘密




しまった。

やり過ぎた。


後悔してもすでに遅く、奏はここから居なくなってしまった。


「……はぁ…」


ため息をつき、頭をかく。


つい夢中になってしまった。


彼女の反応がとても魅力的で。

理性があっちに行ってしまった。


はは。


……はぁ。


焦りは、後悔しか生まれない。


半ば諦めかけていた。

でも、信じられないこの展開。


浮気とは言え、奏に触れる事が出来る。


きっかけは出来た。


ゆっくりやって行こう。


欲しくてたまらなかった奏。

嫌われたりしたら元も子もない。


他の女なんて奏に比べたら、アリ。
いや、ミジンコ?


はは。
それは言い過ぎ。


それだけ奏は他の女達と違い特別。


まあ、奏はその辺の女達と違い、大人しくて、近寄りがたい美人でもある訳だけど。


俺がなぜそれほどまでに彼女にこだわるのか。


それは。


笑ってくれたから。


見てしまったから。


好きになってしまったから。


例え誰かのものでも欲しくてたまらない。


あの初めて会った時の笑顔で俺に笑いかけて欲しい。


あの切ない声を俺にだけ聞かせて欲しい。


奏の全てが欲しい。


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