秘密



「…そろそろ帰らないと」


奏はそう呟くと、俺から身体を離した。


急に彼女の温もりが離れて、ちょっと残念。


俺はもう少し奏と一瞬に居たくて、何とか引き延ばそうとしたけど、彼氏と帰ると彼女は言う。


俺も同じように美里と帰るのだと思っていたのだろう。


そんな事あるわけない。


美里は学校内でもまとわりついてきて、ハッキリ言ってウザい。


一応付き合ってはいるけどね。


それなりに可愛いし、悪い気はしないが、まあ。なんと言うか、身体だけ?みたいな?


はは。

俺ってサイテーかも。


奏は一つ聞いてもいいかと質問してくる。

何でメアドを知っているのかと聞いてきた。

色気のない質問にガッカリ。


もっと近くで、もう少しだけ奏を感じていたい。


俺のまさかの申し入れをすんなりと受け入れた奏。


それなりに期待してしまう。


なのに彼女はわりと冷静で、何だか素っ気ない。


俺に背を向けて帰ろうとする奏を、俺は彼女の腕を掴み、引き止めてしまった。


奏の身体をそのまま引き寄せ、抱き締める。


帰りたいと言う彼女に、俺はもう一度深く口付けた。

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