秘密
慌てて佐野君から離れる私。
佑樹はツカツカと私に近付き、腕を掴んで、自分の後ろに私を隠すようにして、佐野君からさらに引き離した。
「こんな朝早くに、二人で何やってんの?」
「何って、バスケだよ?見ててわかんないの?」
佐野君はまるで何も無かったかのような口調でそう言って、
「あのっ、佑樹、私、佐野君にシュートの練習、見てもらってただけなの…」
「お前は黙ってろ!」
怒鳴られた私は黙る事しか出来なくなってしまった。
「おい…怒鳴るな…奏が何したんだよ?」
佐野君の低い声がした。
「自分の彼女が他の男に抱きついてたりしたら、普通怒るだろ?」
「…だから、バスケやってただけだって…」
「………行くぞ。奏」
言うと佑樹は私を引っ張り、扉に向かって歩き出した。
振り返ると佐野君は怖い顔をしていて、私達を睨んでいるようで、私は泣きたくなってしまった。
ごめんね佐野君。
嫌な思いさせてしまって。
……昨日も…
佐野君に恋する私は、佑樹が居るくせに、それでも佐野君と一緒に居たくて…
こんな関係は、いつまで続くかわからないのに、その内終わらせなきゃいけない関係なのに、私の心は佐野君で溢れてしまって、自分でも抑えが利かなくなってしまいそう。
佑樹に手を引かれていても、心の中は佐野君がいっぱいで、ついに涙が溢れてきてしまった。
私は前のめりになりながら、無言で足早に歩く佑樹に、生徒会室に連れて来られた。
乱暴にドアを開け、中に入ると後ろ手に鍵を閉めて、掴んだままの私の腕を引き、腰に手を回し、噛みつくように激しくキスしてきた。
佑樹…怒ってる…
当たり前だよね…あんな所見られたんだから。
佑樹は腰に回した手を、さらに強く引き、バランスを崩した私の身体を長テーブルの上に押し倒し、私のブレザーのボタンに手をかける。
「!やっ、佑樹、やめてっ」
肘をついて起き上がろうとしたら、佑樹は私に覆い被さり、スカートの中に手を入れてきた。
「!…嫌っ、嫌っ!佑樹っ!」
足をバタつかせて必死に抵抗すると、
「…佐野とはよくて…俺とは嫌なんだ?」
佑樹の動きが止まり、冷たい声がした。