秘密

「…何…言ってるの?私と佐野君はそんなんじゃ…」

「…昨日、佐野と一緒に帰ってただろ?」

ドキリとした。
見てたの?
それとも誰かに見られてた?

「…あれは…たまたまだよ…乗るバスが、同じだったから…」

「昨日、結構遅くまで学校に残ってたんだな?」

「…図書館で美樹ちゃんと話してたから…あ。明日ね、美樹ちゃんがうちに泊まりに来るの、お父さんが出張だから、一緒にDVD見ようかって、色々見たい映画の話しとかしてたら、遅くなちゃったんだよ」

なんとか誤魔化そうと、自分でも信じられない位、スラスラと嘘が出てくる私。

ごめんね美樹ちゃん…
また美樹ちゃんの事、利用してしまった。

「…今朝も、一緒に来たのか?…」

「それも、たまたまだよ…」

明らかに不自然な言い訳にしか聞こえないだろうけど、押し通すしかない。

私は佐野君との事なら、佑樹に平気で嘘をつける事に自分でも驚いた。

「…佐野の前では、あんな顔して楽しそうに笑うんだ?…しかも抱き着いて…」

上からじっと冷たい視線で私を見下ろす佑樹。

「…あれは…バスケやってただけだから…別に深い意味なんかないよ…」

その視線から顔を反らして横を向くと、佑樹は私の顎を掴み、再び見下ろす。

その表情は、笑ってはいたけど、凍りつくような冷たいもので、私は視線からだけでも逃れようと、窓の方に目線を向ける。

佑樹は顎を掴んだその手に力を入れると、再び激しくキスしてきた。

無理やり口を抉じ開け、舌を絡ませてくる。

「…ふぅ…んっ…やめ…ん」

ここは一階だし、窓から誰に見られるかもわからない、私は必死に佑樹から逃れようと身体を捩ると、テーブルの上から、佑樹ごと素振り落ちてしまった。

咄嗟に床に右手をついて、手首を捻ってしまった。
そこに鋭い痛みが走る。

「…痛っ…んっ…」

佑樹はそれでもキスをやめない。

手首がジンジンと熱を持ったみたいに痛みだし、力が入らなくなってしまった。

佑樹は私が観念したのかと、勘違いしたみたいで、スカートの中に手を入れると、下着を脱がせた。

「…やめて…佑樹…誰かに見らる……」

「こんなに朝早く誰も来ないよ」

そう言って佑樹は私に押し入ってきた…

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