秘密
◇◇◇



………今、何時?…


ボンヤリする頭でゆっくり身体を起こし、壁掛け時計に目をやると、午後16時。

学校から帰って直ぐに、シャワーだけでも浴びたくて、片手でやりにくかったけど、なんとか浴びる事が出来た。

熱いシャワーで身体を綺麗に洗い流したかった。

部屋に戻ってそのままベッドに倒れ込むと、いつの間にか眠ってしまっていた。

背中や腰も痛かったけど、暫く休んだからか、腕の痛み止の藥が効いているのか、今は痛みは無くなっていた。


……喉乾いたな…


部屋を出てキッチンへと行き、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。

…ここで問題発生。

ペットボトルの蓋が開けられない。
利き腕が使えないとかなり不便。

胸と右腕の間にペットボトルを挟み、左手でキャップを回すけど、利き腕じゃないからなかなか力が入らない。

ペットボトルと格闘していたら、玄関のチャイムが鳴り、ボトルをテーブルに置いて、インターホンのボタンを押す。

「…はい」

『美樹だよ〜♪』

「美樹ちゃん。今開けるね」

佐野君と屋上で別れた後、図書室へと行き、美樹ちゃんに早退する事を告げたら、凄く心配してくれて、片手で不便だろうからって、今日から泊まりに来てくれる事になった。

ペットボトルも開けられなかった私は、確かにこれは誰かに頼るしかないと、改めて実感した。

玄関の鍵を開け、ドアを開けると、そこに立っていたのは、

「…佐野君」

「奏、大丈夫?痛むか?」

「ううん、今は痛み止が効いてるみたいだから、痛くないよ」

「…そうか、よかった…」

「はいはい、佐野君、入口塞がないで中に入って」

美樹ちゃんに背中を押されて、佐野君が玄関に入って来ると、美樹ちゃんの後ろには拓也君が居て、コンビニの袋を上に持ち上げて、

「かなちゃん、コレお見舞い」

「ありがとう、拓也君。みんな上がって?」

「お邪魔しま〜す♪佐野、早く上がれよ」

拓也君に急かされて、佐野君は上に上がると、次々にみんな入ってきて、急に賑やかになった。

みんな私の事心配して来てくれたの?

私は何だか嬉しくて、鼻の奥がツンとして、涙が出そうになった。


< 138 / 647 >

この作品をシェア

pagetop