秘密
「かなちゃん、冷蔵庫開けるよ?」
言うと拓也君は袋の中身を冷蔵庫に詰め込んでいく。
「…うん。何買って来てくれたの?お金払うよ」
泣きそうなのを誤魔化そうと、二三度瞬きをして笑顔を作る。
「は?お見舞いって言ったじゃん、お金なんかいらないよ、パックのジュースとかお茶とかヨーグルトとか、片手でも大丈夫そうなの色々買ってきた」
パタンと冷蔵庫を閉めて、ニッと笑う拓也君。
「…奏?熱あるんじゃない?目が潤んでる…」
佐野君が額に手をあてて、前屈みに私の顔を顔を覗き込む。
「…ね、ねちゅは無いと思うけど」
佐野君の顔が急に近付いてきて、慌てた私はどもってしまった。
……ねちゅって…
「あはは。ねちゅって、奏、可愛い」
……恥ずかしい…
「えっ?かなちゃん熱あるの?後は適当にやっとくから、佐野君、かなちゃん部屋で休ませて」
「うん。奏、部屋行こ」
「…大丈夫だよ、さっきまで寝てたから…」
「ダメ、安静にしてろ」
佐野君から肩を掴まれ、部屋に連れて行かれて、またベッドに戻されてしまった。
横になると佐野君は毛布を掛けてくれて、また私の額に手をあてた。
「…やっぱり少し熱いかも、顔も赤いし」
…顔が赤いのは、佐野君のせいだよ…
佐野君は額に置いていた手を今度は、私の頭に移し優しく撫でてくれて、私は益々赤くなってしまっている顔を隠すように毛布を鼻まで上げた。
「…ホントに大丈夫だよ…あの、来てくれて、ありがとう、佐野君」
「ん、心配だったから、あ」
佐野君は撫でていてくれた、手を離すと、鞄の中をゴソゴソとしだして、数枚のプリントを取り出した。
「コレ。進路希望のプリントとか、ノートのコピー」
「コピーとってくれたの」
見ると佐野君の綺麗な字で書かれた、ノートのコピーが教科ごとにまとめられていた。
「うん。もうすぐ中間考査だし、腕治るまで、俺がノートとるよ、こんなに真面目にノートとったのはじめてだ、ははは」
と笑う佐野君。
……どうしよう、嬉しくて、泣きそう。
「……ありがとう」
「いいって、自分の為でもあるし、俺もそろそろ真面目に勉強しないとな?将来の為に」