秘密


………将来か。

改めて言われると、私は自分が何をしたいのか、今の所全くわからない。

コレと言ってなりたい職業がある訳でもなく、とりあえず、自分の学力にあった大学を受験する事しか思い浮かばない。

高校を卒業して直ぐにでも就職してもいい位だけど、女子の高卒で就職先なんかあるはずもないから、やっぱり進学するしかないのかなぁ?

適当に進学して、適当に就職する。

私ってホントにつまんない人間だなぁ…


「…佐野君は、進学してどうするの?何かやりたい事ある?」

「俺…教員免許取ろうと思って…」

「佐野君。教師になるの?」

「教師になるかは、わかんないけどね、小中の資格とるつもり」

「……佐野君。凄いな…もう将来の夢決まってるなんて…私なんかまだ全然…自分が何をやりたいのかもわからないよ…はは…」

酷く自分が情けなくなってきた。

佐野君、先生になったら、凄く人気者の先生になりそう。

カッコいいし、きっと女生徒や、他の女性の教師にもモテるんだろうな……

……佐野先生。

うん。いい響き。

小学生の子供達と一緒に、笑顔でバスケをやってる佐野君を想像してしまって、毛布で隠した口許が綻ぶ。

「奏は、夢とかないの?」

「……夢かぁ…」

天井を見つめて考えてみる。

…私の夢。
ひとつあるにはあるけど、それが果たして自分のやりたい事なのか曖昧だけど…

「……笑わない?」

「うん。笑ったりしないよ」

「…毎日笑顔で過ごせる…穏やかで、幸せな家庭…」

言ってしまって、なんて子供っポイんだと思って、後悔した。

コレじゃ幼稚園生が、将来の夢はお嫁さん。って言うのと同じレベルだ…

佐野君、呆れてるよね?

そう思って佐野君の顔をチラッと見たら、佐野君は以外にも真剣な顔をしていて、私と目が合うと、フッといつもの優しい笑顔になった。

「…それが奏の夢?」

「…あはは。こんなの夢でも何でもないよね?何言ってるんだろ、私、今の無し…」

「…その夢、きっと叶うよ、俺も手伝うし…」

え?

手伝う?

−コンコン…

ドアをノックする音がして、美樹ちゃんが顔を覗かせた。

「かなちゃん、喉乾いてたんでしょ?」



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