秘密
部屋に入ってきた美樹ちゃんの手には、さっき開けようと思っていたミネラルウォーター。
「うん。開けようと思ったんだけど、片手じゃ開けにくくて…」
そう言えば喉乾いてたんだった。
「水飲む?奏」
「…うん。喉乾いた」
ベッドに腰掛けている佐野君は、美樹ちゃんからボトルを受け取り、私の身体を起こしてくれた。
ゴクゴクと半分近くを一気に飲む。
冷たい水が身体の中に染み込んでいくのがわかる。
「…あ〜…お水美味しい…」
思わず声が出る。
「はは。いい飲みっぷり、よっぽど喉乾いてたんだな」
「かなちゃん、遠慮しないで何でも言ってね?そのために来たんだから」
「うん。ありがとう、美樹ちゃん」
−コンコン…
「美樹〜?」
拓也君がドアから顔だけ見せてきた。
「何?拓也」
「俺、何すればいい?」
「あ。あちしんちから着替えとか持ってきてよ、学校から真っ直ぐに来たからさ、お母さんには事情話してある、荷物用意してくれてるはずたから」
「うん。わかった」
「拓ちゃん、俺が送って行こうか?」
「…拓ちゃん?佐野君って、拓也君の事そう呼んでるんだ?二人そんなに仲良かったっけ?」
「「いや、別に」」
ハモってるよ、二人とも…
「あはは。学校でね?佐野君と一緒にかなちゃんち行くって言ったら、自分も着いてくるって、佐野君に妬き持ち妬いてんの、拓也」
「だって、あの、佐野だぞ?美樹の身に危険が迫るとも限らん…」
「……拓ちゃん、だからそれはないって…俺は誠実な男だ」
「そうそう、佐野君は意外といい奴だよ?」
「…意外とって…美樹ちゃん…」
「あはは。ごめんごめん、佐野君はいい奴だよ」
三人ともいつの間にか仲良くなってる。
私はなんだか嬉しくて、美樹ちゃんと一緒に笑っていた。
「てか、送って行くって?佐野?どうやって?」
「俺んちここの近所だし、俺のバイクで往復した方が早いし」
「え?佐野バイク乗るの?」
「うん。GPX400」
「マジ?乗せて乗せて♪」
「学校には内緒にしといてね?拓ちゃん」
「わかった、わかった。早く行こうぜ♪」