秘密
「あ。そう言えば、昨日の彼女、ちゃんと送って行ったか?」
カートを押しながら、買い物を続けるカケルの後ろを何となく着いていく。
「うん」
「お前の彼女?」
元だけどね?
「……違うよ」
「ふ〜ん…違ったか」
2万円のメロンを手に取る俺。
これで1ヶ月メシ食えるな…
クソ。所詮瓜科の野菜の分際で…生意気な…
「何?メロン食いたいの?買ってやろうか?」
マジですか?
「いや、別に食いたいって訳じゃ、お見舞いに持ってったら喜ぶかなと思って…」
「誰か入院でもしてんのか?」
「入院してる訳じゃないけど、怪我してるんだ…」
「女か?」
「うん」
「お前の彼女?」
何でコイツは直ぐに彼女かと聞いて来るんだろう?
「……になる予定」
「可愛いか?」
「…死ぬほど」
「よし!カケルさんが何でも買ってやろう!好きなもの何でも入れろ!」
いつも有り難うございます。
カケル様。
「拓ちゃん!奏達に土産買ってこうぜ」
野菜コーナーを物色中の拓也に声をかけると、俺達の方を見て何事かと近付いてきた。
「拓ちゃん、この人、俺の知り合い、カケルさん」
「…ども」
拓也はカケルに軽く頭を下げる。
「……君…いいね」
「は?」
「ね?ホストとかに興味ない?」
「はあ?」
出た。
カケルのスカウト病…
「カケルさん、俺達高校生、無理だから」
「なんだよ?いいじゃん別に、固い事言うなよ、茜のケチ」
…ケチって…おい。
そりゃ俺はケチだよ、2万円の瓜科の野菜も買えないよ。
って何考えてんだ?俺は。
「……あの…」
拓也は訳がわからず、俺達を見比べて、狼狽していた。
「あはは。ごめんごめん」
カケルは笑い、ブランド物か?と思われる程使い古した、ヨレヨレになって分厚く膨らんだ財布から、名刺を一枚取り出し、拓也に渡す。
黒いカードが数枚入っていたのを見逃さなかった俺。
「もしよかったら、うちの店で働かない?」
「…はぁ……あ。俺バイト探そうと思ってたんです!」
「丁度よかった!やる気になったらそこに、俺のケー番載ってるから連絡してよ」