秘密
俺達が大量の高級フルーツを持ち帰り、玄関先に置くと美樹は、
「一体どうしたの?それ」
と、呟く。
俺達の後ろに居たカケルが、グイッと身を乗り出してきた。
「こんにちは、はじめまして。君が美樹ちゃん?俺、カケルって言います。まぁ、茜の友達?みたいな?偶然買い物中の二人に会ってさ、コレは俺からのお見舞い、奏ちゃん?だっけ?怪我してるって聞いたから」
にこやかに笑うカケルに美樹は、少し戸惑いながらも笑顔で答える。
「そうだったんですか、有り難うございます。あの、よかったら上がって下さい。お茶入れます」
「いきなり訪ねたりしてごめんね?お邪魔します」
カケルは靴を脱ぎ、綺麗に揃えて上にあがると、ダイニングのテーブルに着く。
拓也もその隣に腰掛けた。
「俺、奏呼んでくるよ」
「うん。そうしてもらえる?お見舞い頂いちゃったし」
奏の部屋のドアをノックして中に入ると、奏は笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさい。佐野君」
ああ。なんかいいな。
お帰りなさいって。
奏に言われると特にいい。
「…うん。ただいま」
ベッドの上で文庫本を読んでいたらしい奏は、しおりを挟み本を閉じた。
俺はベッドに腰掛ける。
「……佑樹…来たんだって?」
「…うん、佑樹に怪我してる事、何にも言って無かったし、櫻井先生に聞いたんだって…」
「他になんか言われなかったか?」
「…ううん、別に何も…直ぐに帰ったから…」
「…そうか、あ。起きれる?ちょっと俺の知り合いが来てるんだけど…」
俺は奏にこれまでの経緯を簡単に説明した。
「なんか悪いな、見ず知らずの人にまで迷惑かけてるみたい…」
「迷惑な訳ないだろ?拓ちゃん狙ってるんだぜ?アイツは」
「…狙ってるって、ふふふ。あ。早く挨拶しないと…」
「立てるか?」
「立てるよ、怪我してるのは腕、足じゃないよ?ホントに大丈夫なんだから…美樹ちゃんも佐野君も心配し過ぎ」
奏は俺が腰掛けている隣に移動してきて、そこに座り直すと、俺の顔を下から覗き込んでニッコリと笑う。
その笑顔の俺に対する破壊力は凄まじく、どんだけ奏に参ってるんだと、改めて実感してしまった。