秘密

「…たからさ、俺、カケルさんの店でバイトしようと思って」

美樹はトレイの上に切ったスイカを乗せて、テーブルの上に置く。

「でも、ホストクラブなんでしょ?なんかヤダな…」

「美樹ちゃん、それは偏見。ホストクラブって言っても、普通のバーと変わらないよ?それに接客させる訳じゃないし、厨房とか掃除とか、ウエイターなんかの仕事してもらうつもり、勿論酒なんか飲ませない、茜がバイトしてる居酒屋の近くだし、送迎だってちゃんとする、ファミレスか何かでバイトするよりは時給もいいよ?あ。よかったら今度、奏ちゃんと二人で店に遊びに来なよ?金なんか取らないからさ。社会見学しにおいで」

と、終始にこやかに語ったカケル。
これで何人口説き落としたんだろう?

「…ホストクラブ…行ってみたいかも…」

…美樹ちゃん。
食い付くとこそこ?

「な?いいだろ?美樹、今からバイト始めたら、夏休みには教習所通えるんだよ」

「頑張ればバイクも直ぐに買えるよ、バイク屋に知り合い居るし、俺の顔で安くしてもらえるよ?」

「…そこまでしていただけるなら、いいよ。拓也、バイトしなよ」

「うん!俺頑張る。カケルさんよろしくお願いします♪」

「こちらこそよろしく。早速だけど、今日から来れる?」

「はい。勿論」

「…三者面談終わった?」

「三者面談って…茜…」

「スイカ食おうぜ…腹へった、奏、スプーンどこにある?」

隣に座る奏に聞いた。

「あ、スプーンはね、食器棚の真ん中の引き出しに…」

「佐野君、スイカにスプーンなんていらないでしょ?」

「え?いるでしょ?普通、小さくカットしてるならいらないだろうけど、こんな半月型…」

「わかってないわね、佐野君」

「は?何が?」

「スイカはね、こうやって食べるのよ」

すると美樹はスイカを両手で掴み、端から勢いよくかぶり付いた。

そう。

いわゆる、志村○ん食い。

「美樹のバ○殿食い!あははは♪」

「美樹ちゃん、汁!汁溢れてる!あはは」

笑う拓也とカケル。

「美樹ちゃん、凄い、私も!」

奏も片手で同じようにかぶり付く。

それからみんなでテーブルの上を、スイカの汁まみれにしたのは言うまでもない。


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