秘密


翌朝。

拓也君がうちまで来てくれて、私の荷物を持ってくれた。

お弁当も入っていないし、そんなに重くはないんだけど…

「いいから、いいから♪気にしないでよ、かなちゃん♪」

と、可愛らしい笑顔でそう言う拓也君。

「拓也、バイトはどうだった?」

「結構忙しくて大変だったけどさ、でもスゲー楽しかったよ。他のスタッフもいい人達ばかりでさ、カケルさんなんか別人みたいにピシッとしてて、超カッコいいんだよ。昨日は初日だからって早めに上がらせてもらって、佐野がバイトしてる居酒屋に連れてってくれて、飯食わせてもらった」

「佐野君のバイト先に行ったの?」

私は拓也君に聞くと、

「うん。響屋って店、佐野の奴カウンターでカクテルとかも作ってた、ドリンク担当なんだって、客とも仲良く話したりしてさ、高校生と思われてないみたい、はは」

「佐野君、大人っぽいからね、拓也とは大違い」

「何それ?俺が子供って言いたいの?」

「…子供って言うか…何か犬っぽい…」

「はあ?犬?」

「うん。犬。いつも尻尾振ってあたしの後着いてくるの」

「……犬…ぷぷっ」

「あっ、かなちゃん今笑っただろ?」

「いいのよかなちゃん、思いきり笑って、ホントの事なんだから、さあ。行くわよポチ!」

「…ポチって…美樹…酷い…」

…ダメだ。限界…

「あははは。ポチって、美樹ちゃん、拓也君可哀想。あはは」

私は可笑しくて思いきり笑ってしまった。

ごめんね?拓也君。

「かなちゃん、ちょっと笑いすぎ!」

「あははは。ごめんごめん、でも…あははは」

私達はそんな風に笑いながら、佐野君のアパートの近くのコンビニに立ち寄った。

お弁当作れなかったから、お昼はここで買う事にした。

佐野君居るかな?なんて密かに期待してしまって、そんなに私の都合よくいくわけないなと思いつつも、店内を見回してしまった私。

するとドリンクの冷蔵庫の扉の前に、金髪長身の後ろ姿を発見してしまった。

…佐野君だ。

冷蔵庫の扉を開けて、お茶を取り出す佐野君の背中に声をかける。

「おはよう。佐野君」

振り向いた佐野君の前髪にピンクのピンが留めてあって、私はまた笑ってしまった。


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