秘密
「さ、食べましょうか?みんなお腹空いたでしょ?お父さん待ちくたびれて、もう出来上がっちゃってるけど、気にしないでね?奏ちゃん?」
「はい、あの、頂く前に、コレ…」
奏が包装された赤いリボンが付いる箱を取り出し、続けて俺も同じように包装された箱を母さんに差し出した。
「え?何コレ?もしかして私に?」
「うん。明日母の日、だろ?」
「佐野君、違うよ母の日は先週だよ…」
「え?そうなの?奏ちゃん」
兄貴も俺も勘違いしていたらしい。
「あはは。うちの息子達はホントにこう言う事、忘れっぽいと言うか…でも、ありがと、お母さん嬉し♪奏ちゃんまで…」
箱を受け取り、若干涙目で俺達を交互に見る母。
「二人ともありがと♪静は?何くれるの?」
「俺のは明日うちに届くよそれまでのお楽しみ♪とりあえず、今はソレ、開けたら?」
「うん。何かな?」
ガサガサと箱を開け、それを広げて見る。
「わぁ。素敵!こんなワンピース欲しかったのよ♪こっちはコサージュ、可愛い♪」
異様に喜ぶ母さんに、奏も嬉しそうだ。
俺はちょっと照れくさくなってしまい、ソファの背もたれに深く沈んだ。
「ほら、茜…」
後ろから父さんが俺の頭の上に箱を置いた。
どうやら俺の誕プレらしい。
「あ。ありがと、開けていい?」
「うん」
開けてみると、白いノートパソコン。
今使ってるPCは父さんのお下がりで、ホントは最新型が欲しかったんだけど、一人暮らしを始める時に何かと金を使わせてしまったから諦めていた。
「ありがと、父さん、スゲー嬉しい」
「うん。17歳おめでとう、茜」
「茜、俺も半分金出したんだぜ?感謝しろ」
「……ありがと、兄貴」
「うん。素直でよろしい♪」
そう言って俺の頭をわしゃわしゃと撫でる兄貴。
隣には笑顔の奏。
ホームドラマみたいで凄く照れくさくて、こそばゆい感じがするけど、今の俺って結構幸せじゃね?
「私も今度何か用意するね?17歳おめでとう、佐野君」
眩しい位の笑顔を俺にむける奏。
「うん。ありがと、奏」
今日一番その笑顔が、俺にとって最高の誕生日プレゼントだよ。