秘密
◇◇◇











木曜日。


球技大会当日。


今日は授業も無いから鞄も軽くて、昨日の放課後に病院に付け替えに行ったら、もう腕は三角巾で吊るさなくても大丈夫だと言われたから、不自由なのには変わりないけど、何となく身体が軽く感じられた。


美樹ちゃんちから学校に通うのも今日で最後。

お父さんが出張から帰ってくる日だから。


シロを拾ってきた次の日から私は病院の帰りに佐野君のアパートに通っていて、お水を代えたりトイレを綺麗にしてあげたりと、佐野君がバイトに出掛けてしまった後でも、合鍵を使って出入りするようになっていた。


早く腕を治してアルバイトしたいな…


佐野君はシロに必用なものを次の日には一式買いそろえていて、私が見つけて飼い始めたのに、申し訳なさでいっぱいになってしまった。


「今日で最後かぁ…ね?かなちゃん、これからも時々泊まりにきてね?」

「うん。美樹ちゃんもね?」

「勿論♪」


バス停から学校まで歩いていると、

「おはよう美樹、かなちゃん」

後ろから拓也君の声がして、振り返ると。

「……佐野君…どしたの?その…頭…」

美樹ちゃんはそう言ったけど、私は驚き言葉が出てこなかった。

……だって、佐野君…

「スゲーだろ?佐野の頭、桜木○道かっつーの!あはは♪」


佐野君のお気に入りのあの漫画本の主人公みたいに、赤く染められた佐野君の髪の毛。


「…今日一日限定、茜色の茜…」

佐野君がそう呟いた。


私は呆然とその赤く輝く髪の色に見とれてしまっていた。


「あれ?ウケない?」

「佐野、ドン引きされてる!あははは♪」

「ウケると思ったのに…残念…」


がっくりと肩を落とす佐野君。


……ウケるって佐野君。
笑ったりしないよ。


だって、凄く似合ってる。
金髪もよかったけど、赤い佐野君も、素敵…


「…あの、佐野君…凄く…」


似合ってるよって言いかけた時に、不意に誰かに肩を捕まれた。


「……佐野、いくらなんでもその頭髪は…やり過ぎだろ?」



……佑樹…






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