秘密
「茜っ!何だその頭!あはは♪てことは俺は流川か?」
教室に入るなり宮地君は佐野君の背中に飛び乗り、その赤い髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回した。
「…貴司…重い…」
ぼやく佐野君をよそに宮地君はしがみついたままで、そんなじゃれ合う二人にクラス中の視線が注がれる。
凄いもんね、佐野君の髪の色。
でもそんな派手な赤い髪も似合ってしまう佐野君に、女の子達が数人携帯を向けて写メを撮っていて、私も思わず鞄の中に忍ばせたデジカメに手が延びる。
今日はバスケをやっている佐野君を沢山撮ろうと思って、昨日うちに戻って持ってきたデジカメ。
写メでもいいけど、やっぱり綺麗に撮りたいし。
球技大会の記念にもなる。
佐野君が学校で楽しく過ごしている事を、離れて暮らす静さんやお母さん達にも見せてあげたい。
「茜、体育館使えるらしいぜ?軽く練習しにいくか?」
「少し位はアップしとかないと怪我の元だしな…うん。少しやろうか?」
「了解、他のやつらにも言ってくる」
やっと佐野君の背中から降りた宮地君。
「あれ?奏、デジカメ?」
佐野君は私が手に持つデジカメに気付き、それに視線を移した。
「うん。私、球技大会参加出来ないから、みんなの頑張りを写真に収めようと思って、あ。昨日シロも撮ったんだよ?」
最後の方は小声で言うと佐野君は、
「見せて?」
「えっとね…ほら」
シロの画面を佐野君に見せる。
「はは。シロ驚いた顔してる」
写っているのはフラッシュでビックリしているシロ。
「次も見てみて」
次は私の膝の上で眠ってしまったシロの上からのショット。
「……こいつは、また…」
「え?…何?」
「…何でもない、あ。着替えに行かないと」
気付けば教室の中は半数近くの生徒が減っていて、中には教室で着替えてる男子も居たりして。
「…更衣室、面倒くさいや、俺もここで着替えよ」
鞄を机の上に置き佐野君はその場で着替え出した。
……佐野君…
他の女の子達から写メられてるの、気付いてる?