秘密


第一試合。


審判がボールを高く上げ。


試合スタートのジャンプボール。


佐野君は相手チームの男子よりもさらに高くジャンプした。


−−パシッ!


佐野君がボールを叩く乾いた音がして、


「貴司っ!」


佐野君がそう叫ぶと試合が始まった。


「行けっ!先制だ!」

「おうっ!」


宮地君がボールを掴むとすぐさまドリブルでゴールへと走る。


敵チームの二人のディフェンス。


「真木っ!」


横に走ってきた真木君にボールを繋ぐと、真木君はそれをさらに佐野君に繋ぐ。


佐野君の手に渡ったボール。


佐野君は走り出す。


私は爪が掌にくい込む位強く握り締めてしまっていて、その中は汗でぐっしょりと湿ってしまっていた。


佐野君の目の前に一人のディフェンス。


難なくそれをすり抜ける。


ゴール目前。


その下には二人のディフェンス。


「生田っ!」


佐野君は振り返らず後ろの生田君にボールを回すと、ゴール下の二人のディフェンスはそちらに走り出す。


生田君はスリーポイントラインの外からシュートを放つ。


だけどボールはリングにあたり跳ね返る。


その真下はフリーになった佐野君。


佐野君は信じられない位高く飛んで、その弾かれたボールを掴むと、リングの中に叩き込んだ。


…ターン…ターン…ターン…


体育館は静まり返り、ボールが下に落ち、跳ねる音だけがして、


佐野君がリングから手を離し、着地した次の瞬間。


「何?今のっ!」
「誰だ?あいつは!?」
「ほら、佐野だよ」
「金髪じゃなかったけ?」
「スゲーっ!」
「佐野!お前何者っ!?」
「ダンクだ!ダンク!」


一斉にどよめきと喚声。


宮地君が佐野君に飛び付つくと、


「何?お前?凄すぎっ!このどあほう!あはは」



……凄い。

凄過ぎるよ、佐野君…


私は全身に鳥肌が立ってしまって、微かに身体まで震えてしまっていた。


佐野君があまりにも綺麗すぎて。


目頭が熱くなってしまった。





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