秘密
◆◆◆




二回戦終了。


……ふぅ。

さすがに二回続けての久しぶりの全力の試合は足に負担がかかるな。

貴司以外は殆ど素人だし、どうしてもそれを補うために動きがハードになってしまう。

三回戦は午後からだ。

昼休みの間にアイジングしてテーピングしとくか。


ステージの上で膝を擦っていると、女子達が戻ってきた。

残念ながら女子は二回戦敗退。

隣のコートで試合中にチラチラと盗み見していたけど、よくやってたと思う。

声もよく出てたし、もっと練習する時間があればきっと勝てたはず。


……残念だったな。


「お疲れ、よく頑張ってたじゃん」

女子達に声をかけると、

「あはは。負けちゃった…」

沢田ががっくりと肩を落とした。

「まあ、五分五分の試合だったけど、運が悪かったかな?奏は?」

そう言えばさっきから奏の姿が見当たらない。

「奥村さんなら他の子がちょっと突き指しちゃったみたいで、保健室に付き添って行ったよ?」

「そっか、突き指って…大丈夫?」

「うん。大した事無いみたいなんだけど、奥村さんが大袈裟で、無理矢理保健室に引っ張って言ったんだよ」

自分も怪我してるしな…
心配だったんだろうな。

「…俺も保健室で氷貰ってくる、荷物よろしく、沢田」

「うん。あ。お昼はみんなでここで食べようね?」

「了解」


沢田に背を向けそう言うと、ステージを降りる。

コートの中はすでに次の試合が始まっていて、拓也が走り回っていた。

……結構いい動きするんだよな。
拓也達が勝てば次の相手はこいつらか…
ちょっと、キツいかな…
でも、負けたりしないけどね?



体育館を出て保健室に向かう。

久々の試合に言い様のない高揚感と興奮で、俺の身体は熱を持っていた。


…やっぱりバスケはいい。


こんなにも俺を熱くさせるのは、その一瞬にしか味わえない震える程の躍動と興奮を知っているから。


怪我をして随分経つけど、いざコートの上に立つと、それすらも忘れてしまいそうになる自分が居る事に、今日気付いてしまった。


『アメリカに、行ってみないか?』


先生の言葉が頭を過る。




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