秘密
「……はは」
乾いた笑いが漏れる。
何考えてんだ?俺。
そんな事、無理に決まってる。
たった二試合こなしただけでこの様なのに…
あほらし、考えるだけ無駄…
無理矢理その考えを頭の片隅に追いやる。
追いやるだけで完全に頭の中から消し去る事は出来なくて、他の事を考える。
勿論奏の事を。
今日は必ず優勝してみせる。
何より奏から優勝したらご褒美と言う約束をしているし。
……ご褒美は何かって?
優勝してからのお楽しみだ。
……うへへ…
…おっと。
変態静並みの変な笑いが出そうになる。
いかんいかん、気を付けねば…
保健室の扉を開けると奏とクラスの女子が椅子に腰掛け楽しそうに話をしていて、
「あ。佐野君、どうかしたの?」
奏が俺に聞いてきた。
「ちょっと、氷とテーピング貰いに…」
奏の表情が少し険しくなる。
「……もしかして、膝が…」
「違うよ、痛い訳じゃ無いから、まあ用心の為に冷やしてテーピングしとこうかと思って、櫻井先生は?」
保健室を見渡すけど櫻井先生の姿はなく、
「櫻井先生、今職員室、佐野君膝が痛いの?」
「いや、そう言う訳じゃ」
「あたし先生呼んできてあげる」
「いや、いいよわざわざ…」
「いいからいいから」
言うとその子は保健室から出てパタパタと走って行ってしまった。
残された俺と奏。
「ホントに痛くない?」
奏が心配気に言ってきたので、それを安心させる為に笑顔で答える。
「大丈夫。負担がかからないようにテーピングするだけだから」
製氷機から氷を出して袋に入れてタオルでくるむ、椅子に腰掛けそれを膝にあてると、熱を持った膝にそれが浸透していく。
奏が俺の前の床にペタリと座り、
「私がやってあげる」
俺の手から氷を取ると再び膝にあてる。
「いいよ自分でやるし」
「ううん、やらせて、お願い」
不安を隠しきれない表情で俺を見上げる奏。
「そんな顔しなくても、ホントに大丈夫だから」
「うん。わかってる」
そんな顔をさせてしまうほど、俺の事を心配してくれていると思うと悪い気はしなくて、奏のやりたいように、暫くそのままじっとしてる事にした。