秘密
両足で軽くジャンプしてみる。
「…先生、テーピング上手いね?」
「当たり前でしょ?これでも養護教諭なんだから」
「……しょっちゅう留守してるくせに…」
「は?何か言った?佐野茜君?」
「…いえ、何も…」
膝が安定してる。
これならイケる。
あと二試合で優勝だから、それくらいなら大丈夫だ。
「先生、ありがと」
「…佐野君、その手術跡…もしかして、靭帯?」
「…うん。そうだよ」
さすが養護教諭。
「バスケなんて…何でソフトボールにしなかったの?変えることも出来たでしょ?」
「………」
「以前やってたのね…無理しちゃダメよ?ジャンパー膝は繰り返すんだから…一概にそうとは言いきれないけど…」
「うん。わかってる、無理せず優勝するから、はは」
「はあ?…全く、好きにやんなさい…でも、佐野君あなた凄いじゃない!他の先生達も驚いてたわよ?普段のダレてるあなたからは想像もつかないって」
「…ダレてるって…」
何気に酷い言われよう…
普段の俺。そんなにダレてるか?
「あの、佐野君?そろそろ戻らないと、お昼休み終わっちゃう…」
奏が俺と櫻井先生を交互に見ながら言ってきたので、
「あ。飯…それじゃ先生。ホントにありがと」
「はいはい。お大事に〜♪」
ひらひらと俺達に手を降る櫻井先生に背中を向けて、奏と二人保健室を出る。
廊下を歩いていると、
「…佐野君って、櫻井先生と仲いいよね?」
「は?…いや、別に普通だろ?」
「…櫻井先生って、凄く綺麗だし…大人だし…男子にも先生達にも人気だし…」
「…何が言いたいの?」
「えっ?あっ!ううん!何でもないの!あはは…」
不自然な笑い声を出し、急に足を早めて俺の前をズンズンと歩き出す奏。
……もしかしてこれって…
……妬きもち?
「……奏、もしかして、妬いてる?」
俺がそう言うと、
「…違っ!」
そう言って振り返った奏の顔は真っ赤で、また俺に背を向けて今度は走り出してしまった。
取り残され、その場に立ち尽くす俺。
何?あの生き物?
……可愛すぎるだろ?