秘密
体育館に戻ると他の生徒達はまばらで、ステージの上の貴司達が異様に騒がしかった。
貴司が俺の姿を見付けると、
「どこ行ってたんだよ!茜!三回戦の作戦会議だ!早く来い!このどあほう!」
……貴司。
すっかり流川だな……
(知らない人はゴメンね?)
先に走っていってしまった奏も昼飯を食べはじめていて、俺もステージに飛び乗り鞄からコンビニの袋を取り出し飯を食う。
「次の対戦、拓ちゃん達?」
「そう!あいつだよ!絶対に負けらんねぇ!」
…貴司。
なぜそんなに拓也を嫌う?
「やっぱりな、多分そうだと思った」
「だから、作戦だ!」
「へぇ…で?作戦って?」
一応聞いとくか。
「とにかく茜がダンクしまくる!」
は?
……貴司。
お前も兄貴属性だったんだな?(つまりバカ)
……可哀想に。
「…あのな?貴司。ダンクなんてフリーになれない限り、そうそう打てるもんじゃないから…」
「俺がフリーにしてやる!頑張れ茜!」
「……はいはい。お前も頑張れ」
「おうっ!」
異様に鼻息を荒くしてる貴司を他所にコンビニお握りにかぶり付く。
するとパシャ、っと音がして一瞬眩しさに顔をしかめた。
見ると沢田が奏のデジカメで、お握りくわえた俺を捉えていた。
「お握りかぶり付き佐野君、頂きました。高く売れそ♪」
…売る?
そもそも売れるのか?
「…売るのは勘弁して、知らないやつに何されるのかと思うと夜も眠れない」
額に肉なんて書かれたら生きていけない…
「あはは。冗談よ、みんなで撮ろうよ、せっかく奥村さんが持ってきてくれたんだから」
その一言にさりげなく奏の隣に移動する俺。
奏の隣は誰にも渡さん。
「ね?誰かシャッター押してよ」
沢田がそう言うと、
「あ。私が押すね?一人だけ制服だし、みんなでお揃いの赤いTシャツ着てるし」
奏はステージから降りてデジカメを構える。
寂しくなった俺の隣には貴司が座り、俺に抱きつき満面の笑み。
……奏にそうやってほしかった。
「じゃ、撮るよ〜、みんな笑って〜?ハイ。チーズ」
その声に引きつった笑顔を向ける俺。