秘密
試合終了のホイッスルが響き渡り、ボールを持っていた宮地君が、
「よっしゃあぁぁっ!」
ボールを高く上に投げた。
スコアは91対86。
「きゃああぁぁ〜〜っ!ホントに優勝しちゃった!」
隣の沢田さんが私に抱きついてきた。
「凄い試合だったね!」
「……うん」
凄い試合だった。
後半からの佐野君は動きが鈍くなるどころか、益々冴えてきて、疲れからかあまり走れなくなった宮地君の分まで佐野君は走り回って、コートの中をしなやかに動くその姿に私は胸が震えた。
佐野君。
ありがとう。
私の事好きになってくれて。
佐野君のその気持ちに応える為にも、きちんとさせるから。
何を言われても、叩かれたりしても。
もう佐野君以外いらない。
考えられない。
表彰式が終わり宮地君達は打ち上げをやると大張り切りで、今日のヒーロー、沢山の生徒達に囲まれてしまっていた佐野君を引っ張って行ってしまった。
生徒会役員は後片付けに追われていて。
佑樹は疲れているのか椅子に座り、あれこれと指示を出していて、私はその佑樹に側に行き、
「…お疲れ様…残念だったね…」
「…奏……はは、うん。負けた」
「でも、いい試合だった…」
私は意を決して、
「……あのね?佑樹…後で、話があるの…」
「話し?今じゃダメなのか?」
「…うん。出来れば、二人きりで…」
「…わかった、俺も話があったんだ、今朝邪魔されたらな、生徒会室で待ってろ、後から行くから」
「……うん、待ってる」
そう言い残し体育館を後にして生徒会室へと向かい廊下を歩く。
……緊張する。
心臓が口から出ちゃうんじゃないかと思う位激しく脈打つ。
佐野君。
私。
今日で佑樹とは終わらせるから。
待っててね。
そしたら真っ先に大好きって言うから。
この先も、ずっと一緒に居たいから。
私は生徒会室のドアに手をかけた。