秘密



……マジか?


てか、いつの間に?


あんだけ俺にモーションかけてきてたクセに…


……女はわからん…


「あはは、アスカさん、もろバレ〜♪」

「だから、違うって!」

「だって顔真っ赤じゃん?」

「こっ、これは…ケーキにブランデーが入ってるからっ!」


芋焼酎でさえロックで飲み干すアスカに限ってそれはないだろ?


と、ツッ込みたいのを我慢する。


「あっ、あたしはイケメンが好きなのよっ!あんな…売れないお笑い芸人みたいなやつ…」


ブツブツと呟きながら、キラキラにデコッた携帯を、閉じたり開いたり。


挙動不審なアスカは、いつもの澄ましている表情とは違い、ホントにこいつ年上か?と思う程、幼く見えてしまって、いじり倒したくなってしまった。


「…キョンちゃん最近、アスカちゃんが冷たいから、もう諦めるって言ってたよ?」

「…え?…何それ?…」

「あんだけ毎回、好き好き攻撃してんのに、アスカちゃんてば、全然相手にしてくんないって…かなり落ち込んでた…」


半分は嘘だけどね?


「……ホントに?」


再び携帯を閉じるとアスカは表情を曇らせた。


「うん。勉強も手に着かないって…」


さらに追い討ちをかける俺。


「………そんな」


アスカは恭介が弁護士目指してんの知ってるな…


「もう田舎に帰ろうかって言ってた…」


最終攻撃。


てか恭介って田舎なんてあるのか?


…ま、いいか。…はは。


−−ガタンッ!


と、椅子から立ち上がると、アスカは携帯片手にその場から走り去り、店内から出て行ってしまった。


「…佐野、今のホント?」


いつの間にか手に持っていたロールケーキは無くなり、今度はフルーツタルトをワンホール、両手に持った拓也がそれにかぶり付いていた。


「嘘に決まってる」

「あはは、やっぱり?」

「今度キョンちゃんに焼肉オゴらす…」

「あ、俺も一枚噛んでる事にしといて?」

「うん」

「やり。肉♪肉♪」


これで上手くいかなかったら恭介は余程のバカだ…


司法試験…失敗するな…



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