秘密
「スゲー!」
「生ダンク!俺初めて見た!」
「カッケー!」
「あの人誰?プロ?」
「キレーなフェイドアウェイ…感動!」
部員達が興奮して騒ぎ立てる中、佐野君はボールを拾うと、私の所に戻ってくる。
「リョータ」
言うと佐野君はリョータ君にボールを投げた。
「…先輩、膝は?」
「大丈夫だって、あの位じゃ何ともないよ、ほら」
佐野君はピョンピョンと跳ねて見せた。
「茜っっ!!」
突然大きな声がして、私は肩がビクッとなった。
……びっくりした…
声の方に目を向けると、体育館の戸口に佐野君よりも大きな男性が立っていた。
男性は佐野君にズカズカと近付くと、
「何だ?この頭は!?校則違反だ!坂道ダッシュ往復50回っ!」
そう言って佐野君の頭を小突く。
「イテッ!」
佐野君はうずくまり頭を 抱えた。
「しかも何だ?この可愛い彼女は!俺に対する当て付けか?嫌がらせか?」
さらに頭をゲンコツでグリグリ…
…い…痛そう。
「痛いよ!センセ!」
「あはは。久しぶりだな!茜」
男性は笑うと佐野君の腕を掴み、立ち上がらせた。
「…うん。久しぶり…先生」
「…元気だったか?」
「それなりに…」
「…さっきのシュート…見てたよ…膝は大丈夫か?」
「…うん」
「…そうか」
男性は佐野君の肩をポンポンと叩くと、私の方を見て笑って見せた。
「こんちは。茜の彼女さん」
……彼女じゃないけど…
「あのっ、奥村奏です。先生ですか?勝手に学校に入ってしまって、すみませんでした」
私は深々と頭を下げた。
「君が来たいって茜連れてきてくれたんだろ?リョータに聞いた」
「…はい、だから、佐野君怒らないで下さい」
「はは。怒ってないから、はじめまして。バスケ部顧問の高田です」
高田先生は私に手を差し出す。
私が手を出しかけると、先生は長い手を伸ばして私の手を握り握手してきた。
私の手を握りブンブンと力強く振る先生。
ちょっと痛い。
手を離すと先生は佐野君の方を向く。
「茜?久しぶりだし、ゆっくりしていけよ?」
と先生は笑って言った。