秘密
◆◆◆


「俺の部屋行こ」

「えぇ〜?もっと奏ちゃんと話させろよ!」

お前が居るから部屋に行くんだ、バカ静。

しれっと奏の隣に座ってんじゃねぇよ。

「…奏、行こ」

俺はソファーから立ち上がり、奏を連れてリビングを出た。

「夕飯出来たら呼ぶから、それまでゆっくりしてらっしゃい」

と母さんの声を背中に聞きながら「うん」と返事をして二階に上がる。

三つ並ぶドアのいちばん奥のドアを開ける。

「入って」

奏はさっきから何故かうつ向いて俺の顔を見ない。

…何でだ?

いきなり奏をほったらかしてバカ静と出掛けたからか?

兄貴のやつ、ナナハンだと?生意気な。

乗りたくなるのは当然だ。

でも俺はまだナナハンには乗れない。くそ。


「…奏?なんか怒ってる?」

部屋のドアを閉めて奏に聞いてみた。

「えっ?怒ってないよ?何で?」

「いや、なんとなく、いきなり兄貴と出掛けたりしたし…」

「あはは。そんな事?気にしてないから、佐野君のお母さんとお喋りしてたよ?素敵なお母さんだね?」

「はあ?そうか?見栄っ張りの普通のおばさんだぞ?」

「そんな事ないよ?優しくて…佐野君によく似てる」

「怒ると鬼だぞ?」

「今日の佐野君も鬼みたいに怒鳴ってたじゃない?ふふふ。やっぱり似てる」

よかった。

怒ってないみたいだ。

……ホッ。

「…そこら辺座って」

「うん」

奏は部屋をゆっくりと見回した。
すると、目ざとく本棚のアルバムを見つけると、本棚の前に座り込んだ。

「…アルバム、見てもいい?」

ホントは恥ずかしいんだけど……

「…いいよ」

アルバムを取り出し、それを開いて見る奏。

俺もその横に座る。

「あ、ちっちゃい佐野君、ふふふ。かわい」

…いや、可愛いのはお前だ。

「あ、ちっちゃい静さん、かわい。ホントに二人はよく似てるね?」

バカ静に似たのは俺のせいじゃない。

両親のせいだ。

「あ!赤ちゃん佐野君!いや〜ん」

…いや〜ん…って、おい。

やめて。可愛いから…

はっ!

…待てよ

赤ん坊の頃の写真って…




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