秘密


「…ちょっ!奏っ、アルバム!返して」

俺は慌てて奏からアルバムを引っ張った。

ヤバイ、その次のページは…

「えぇ〜、見せてよ」

奏も負けじと引っ張る。

「ダメだって、俺の…」

局部全開の写真が…

さらに力を入れてアルバムを引く。


「…わあっ!」


その拍子に奏が俺の胸に飛び込んできて、その勢いに負けて俺も後ろに倒れ込む。


「イテッ!」


後頭部をフローリングにぶつけてしまった。
今日はよく頭を強打する日だ。


「大丈夫?佐野君!」


俺の顔の横に両手を付き、俺を見下ろす奏。

この体制…
わざとじゃないんだ。
逆バージョン。

ははは。


「大丈夫だよ」


奏の後頭部に手を回しそのまま俺の胸に引き寄せた。

ギュッと奏の身体が固くなる。
両腕を回して奏を抱きしめる。

…細い。

まるで重力を感じない奏の身体は、俺の上でじっとしている。

身体を反転させて、奏を抱きしめたまま向かい合わせる。


「…キスしようか?」


俺が聞くと奏は真っ赤になっていた。

あれ?
…この反応。
今までと違う。

奏はキスする時にこんな顔した事ない。
どちらかと言うとドライだ。
他の事では照れたりしていたけど…


待てよ。
と言う事は、キスするのが照れ臭いのか?

マジで?
…ヤバイ、俺も急に恥ずかしくなってきたぞ?


「…茜、入るぞ?コーヒー持ってき……」


いきなりドアが開き、兄貴が顔を覗かせた。


「あっ、ごめ〜ん、邪魔した?あはは。コーヒー置いとくな?ごゆっくり〜♪」

「あのっ!違うんです!」

奏が起き上がり兄貴に言うと、

「いいからいいから♪茜?母さんには黙っといてやる」

そう言ってコーヒーだけを部屋の中に入れてドアを閉めながら。

「ほどほどにな…」

と呟いた。

さすがバカ静。
ナイスタイミング。

「…なんか…誤解されちゃった?」

奏はドアを見つめたまま言った。

俺も身体を起こし、ドアを見る。

「わざとだろ?兄貴…」

ドアの外から「ププッ」と笑い声が聞こえた。

ような気がした。


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