秘密
「…あっ…ダメ…佐野君…」
「…こんな事もやっちゃうよ?」
「えぇっ?あっ、ダメ、そんな事しちゃ…嫌っ!」
「ほら…もうこんなに…」
「…あっ、いやっ!佐野君っ!」
−バンッ!!
「何やってるのっ!?茜っ!!奏ちゃん!大丈夫?」
俺達はいきなり開いたドアに驚き、コントローラーを放り出した。
「何って…格ゲーだけど?」
俺達はドアの前で仁王立ちになっている母さんを、テレビの前に座ったままで見上げた。
「…は?…ゲーム?」
「うん。格闘ゲーム」
母さんはガクッと肩を落とした。
「…ははは…ゲーム…あたしってば…ははは…」
力なく笑う母。
なんだ?
ゲームしてて何がおかしい?
「…夕飯…出来たよ…降りてらっしゃい…ははは」
そう言ってドアを閉めた。
…何だったんだ?
「飯だって、下行こ?」
「うん」
俺達はゲームを片付けて下に降りると、グツグツと鍋の湯気がリビングに立ち上っていた。
すでに兄貴はビール片手に鍋をつついている。
春なのに鍋ですか?
「あ。奏ちゃん♪お兄ちゃんの隣においで?」
は?お兄ちゃん?
何言ってやがるバカ静。
「はい」
と奏は兄貴の隣に座ってしまった。
おいおい。
「ほら、茜も座んなさい?」
母さんが言うと、ソファーに兄貴と奏を挟んで座る。
ハッキリ言って狭い。
「奏ちゃん、俺の事はお兄ちゃんって呼んでね?」
「え?あ、はい。お兄ちゃん」
奏、バカ静の言う事なんて素直に聞くな。
「……母さん聞いた?お兄ちゃんって…こんな妹、欲しかった…」
「あはは。ホントにね?お母さんも女の子欲しかった。絶対茜は産まれる時、女の子だと思ってたのに…ナニが付いてたから…ガッカリだったわ」
…ナニって…
…母さん…奏の前で…やめてくれ。
「…あははは」
奏はそれがツボッたらしく、お腹を抱えて笑い出した。
ナニを見られなくてホントによかった。
…ホッ。
「…ただいま、賑やかだな?あれ?今日はここで飯か?」
「あら?あなた、お帰りなさい」