秘密
「どうぞ」
ドアが開かれ、そこに居たのはさっきのミタさんだろうか?年配の女性。
「おじゃま、します…」
促され中に入ると、ロビーを思わせる程の広々とした通路みたいになっていて、椅子やテーブルまである。
一体何処が上がり口なんだろうか。
そう思いながらミタさんの後に続いて歩いていく。
「お履き物、此方へどうぞ」
軽く5メートル以上は歩いただろう、やっと靴を脱ぐスペースまでたどり着き、足元に差し出されたスリッパを見てみるけど、俺の足のサイズは29。
明らかに履けそうにない。
スリッパに履き替える事なく上がらせてもらうと、リビングへと通された。
大理石の床のリビングの天井は高く、吹き抜けになっていて、二階、三階の階と見上げる事が出来るようになっていた。
逆に言うと上からリビングを見下ろす感じか。
壁際には、絵画。アンティーク調の飾り棚の中には、絵皿やクリスタルや磁器や硝子で作られているような小物等が飾れてあり、どれも目に止まるもの全てが、見るからに高級そうなものばかり。
「どうぞ、お掛けになって下さい」
ソファーに座るよう、ミタさんが言ってきたけど。
「あ…、佑樹…君は…」
「佐野。こっち」
上から佑樹の声がして、見上げてみると、二階部分の手すりから佑樹が俺を見下ろしていた。
「三田さん。俺の部屋に案内して」
「はい。承知しました。佐野様。此方です」
………佐野様…
殿様じゃあるまいし、むず痒いような変な気分だ……
いくら仕事は言え、普通に接してくれないだろうか。
なんて考えながら、ミタさんに案内されるままに、二階へと上がり、佑樹の部屋に案内された。