秘密




嫌だっ!

誰か助けて!

佐野君!


私は声に出せない叫び声を必死に叫んでいた。

明らかにいつもの様子と違う佑樹に私は恐怖を感じていた。

何で?どうしたの?

私が電話に出なかったから怒ったの?


「…佑樹…やめて…お願い…」

私は無理矢理開かれた足で、佑樹から逃れようと、身体を横に向けて起き上がろうとした。

すると佑樹は肩を掴み、押さえ付け、私の頬をバシッと叩いた。

「…今ゴム付けてるから…大人しくしてろ」

また聞いた事ないような声の佑樹。

叩かれた頬がジンジンと熱を持つ。

「…佑樹…嫌だよ…」

「…すぐ終わるから、我慢しろ、挿れるぞ?」

「…っ!!」


鋭い痛みが走る。


「痛っ!佑樹っ、痛いよ、やめて」

「…まだ濡れてなかったからな…直ぐに良くなるよ…動くぞ?」

「…あっ…痛いっ、嫌だよ、佑樹…何で?」

「…俺を…待たせて…他の男と…遊んだ罰だ…」


痛みで涙が滲んできた。

罰って何?
佑樹だって浮気してるじゃない?
私が反抗したから?

私は逆らう事も出来ない…

痛い…痛いよ…

…佐野君。


佐野君の顔ばかり瞼の裏にちらついて、涙がポロポロと溢れてくる。

「…はっ…奏っ…やっぱりお前が…あっ…最高に…気持ち…いい…はっ…」


私の中で狂ったように暴れる佑樹。

ベッドがキシキシと小刻みに揺れている。

ドアの向こうからはテレビの音。


お願い!早く終わって!


「…はっ…奏…少し位…声…出せよっ…はっ…」


そんな事出来ない!

私はギュッと口をつぐんで、佑樹が果てるのを待っていた。


「…あっ…奏っ…もう…ダメだっ…うぅっ…」


佑樹は弓のように身体を剃らすと、次にパタリと私の身体の上に覆い被さった。


…私はやっぱり人形だったんだ。

そうじゃないかと思ってたけど…

今日初めて実感したよ。

私は佑樹の言うなりに足を開くだけの人形だったんだ…


叩かれた頬より、無理矢理開かれた足より、いちばん痛かったのは心の中だった。

その心の奥底には優しく微笑む佐野君の笑顔があった。


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