きみの声がきこえない

見事なすれ違い。


腰パンはそんなこと思ってないのに、

坊ちゃん頭が、勝手に腰パンを敵に仕立て上げて、被害妄想しているだけだった。


腰パンが今坊ちゃん頭を責めているのは、

今タイヤをパンクさせたからだ。


本人を全否定してるわけじゃない。


でも、坊ちゃん頭にはきっとそんな風には思えないんだろう。


「いいか、宮沢。木崎はお前のこと見下したりしてるわけじゃねぇから。

人のもの壊したら謝るって小学生ん時に習ったろ?な?」


「木崎も、そんなカッカすんなって!

とりあえず今日は俺のチャリ使えよ。な?」



陽介が二人の間を仲介した。


坊ちゃん頭の宮沢は相変わらず黙りこくっていたけど、

木崎が先に折れて、陽介に頷いた。
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