きみの声がきこえない
大人のレンアイ
「どうした?」
「恋って難しいね」
秀くんは目をぱちくりさせた。
あたしは、曲がらないスプーンを諦めてお皿に置いた。
「誰か好きな子でもできたのか?
この前言ってた、超能力仲間とか?」
「違う違う…。別に好きな人なんていないよ。
あたしちゃんと人を好きになったことないもん」
「まぁ、まだ若いからな。いずれ分かるようになるよ」
「秀くんには、好きな人がいるの?」
秀くんがちょっと黙ってしまったので、
あたしは慌てて「ごめんなさい」と言った。
「いや、話すよ。
超能力者にはすべてお見通しみたいだしな」
まるであたしに降参したかのように笑って、秀くんは話し出した。