きみの声がきこえない


“ごめん”


そんな陽介の気持ちが、痛いくらい、

あたしには聞こえてくる。


息ができないくらい、

強く、

えぐるように。


過去の傷がかさぶたになっても、何度だって剥がしてしまう陽介は、


自分を傷つけてもいいから、だから、

これ以上、誰にも傷つかないでほしいと思ったんだね。



“神様から与えられた義務としか思えない”


いつか陽介はそう言っていた。

それで誰かのためにいつも、走り回ってた。
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