貴方の恋人になりたいです
「え、なに……それ……」
なんの冗談………?
「ボクな、家出ることにしてん」
「な、で………」
喉がカラカラして、上手く言葉が出てこない……
「どうしても、やりたいことがあんねん」
やりたいこと……?
「私が那智にぃと一緒になるって……?」
「ああ……」
先程とは打って変わった低い、厳しい声音に、周りの空気が一気に冷たくなった。
「アイツと結婚するって意味や」
「なんで私が……っ!!」
「那智はおまえを気にいっとるんよ。ほかの女相手にしとるときと、あからさまに違うねん。おまえも鈍い奴やなぁ。誰だって気づくで。せやから、那智に近寄る女はみんな身を引くんやんか」
そんなこと、知らない
そんな那智にぃ、知らない
私は…………
「それと、アナタが出ていくこととなにが関係するの?」
震える声で彼に問い掛ける。
「よく考えたらボク、親孝行なんもしてきてないんや。親も那智もおまえを気にいってるし、早くに嫁がきたら安心やろ」
そんな………
「勝手すぎる………」
そう言うと、彼は冷たく笑った。
「勝手?なんでも言うこと聞く言うたんはそっちやで」