貴方の恋人になりたいです
「やっぱり言い違えた」
「………?なにを……」
「賭けのやつ。那智とは、朔が決心してからでええよ。まだ10代で遊びたい盛りやもんな」
クククッと彼は笑った。
そう、あの嫌みな笑みでも、張りつけた笑みでもなく、声をあげて笑った。
「アナタがそうやって笑うの、初めて見た…」
「そうやったっけ?」
「うん…」
しばらく沈黙が続いた。でも、今まで感じたことがないくらい、それはとても心地好いもので、ずっとこうしていたいと思った。
「どれ、そろそろおいとましよか」
スッと彼が立ち上がった。
「ねぇ」
「ん?」
「いつ行くの?」
「明日」
「明日!?」
なんでそんな急な……
「ま、元気で頑張り。気が向いたら連絡くらいするわ」
そう言ってひらひらと手を振り、部屋を出ていった。