貴方の恋人になりたいです


「あ、それは言うなや。跡取りとかそういう堅っ苦しいんは昔から苦手なん知っとるやろ。」


少し怒った口調で、コツンと小突かれてしまった。


「ごめんごめん、もう言わない。」


「それ言うの何回目や。」


彼は呆れたように天を仰いだ。


暖かい日差しの中、桜が見える縁側に腰掛けて、二人でクスクスと笑いあった。


「そういえば利緒からはなに貰ったん?」


何気ない口調で彼は聞いてきた。一瞬胸がズキンとしたのは気のせいだろうか…。


「貰ってないよ。」


無意識の内に声のトーンが落ちてしまった。


「ほんまか!?あいつ大分前からお前にやるプレ「那智、こないなところでなにしてはるの?」


那智の言葉を遮ったのは"彼"だった。


「なんや、朔もおったんかいな。二人でこないなところでなにしてはるの?」


私はサッと那智に貰ったプレゼントを着物の袖に隠した。





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