KAGAMI

そして少し寂しそうな顔をする。


この顔、どっかで見た事ある…


「そういうわけにもいかないよ!持ってっていーよ?どれがいい?」


『おれ…諦めないから。』



あ…そうだ。

あの時、体育館の裏に呼び出されて…
その時の顔…。

たぶん。


「えーっとじゃあ…」

ここまで言われたら、断るのも失礼かな。
そう想わせる程にじゅんとした表情を浮かべた先輩。

小さい子が泣きだしそうな時みたいな…
子犬が叱られてる時みたいな…

とにかく母性本能が駆られるような顔…

アタシは先輩の好意に甘える事にした。
パンの入った袋の中を覗きこむ。

アタシの顔より少し下に差し出された袋に、少しだけ屈んだ。
そこからちらっと目だけ上を向いて、先輩の顔を拝む。
先輩は満足そうに笑って、アタシの選択を待っていた。


なんか可愛いな…

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