KAGAMI
今にもぐぅっとなりそうな程の空腹な腹。
音が出るのを必死にこらえてアタシはパンを選ぶ。
「じゃあ、これとこれとこれ!」
ふざけて3つ、指を指した。
「え?!まじで?!」
先輩は予想もしてなかったように、あからさまに驚いた顔をした。
「嘘ですよー」
学校用のアタシは、どこまでも演技派。
本格的に女優になれそうだ。
アタシはいたずらっぽく笑って続けた。
「これくださいっ!」
アタシが選んだのは、チーズが溶けたままのったハムのパン。
「えーそれ、おれが食べたかったのに…っ!」
先輩は泣きそうな顔でアタシを見た。
そんな顔されたら、アタシも引くしかない。
「じゃあ、先輩が選んでくださいよ!」
アタシも、困った顔で言った。
そんな顔するなら、先輩が決めればいいのに。