KAGAMI
困った顔をした先輩は、何か思いついたように明るい顔に戻った。
「じゃあこれやるよ!そんでコレは半分こしようぜ!」
ニカっと笑う眩しい笑顔。
なんでこの人はこんなに、色んな顔が出来るんだろう…
「え…」
っていうか、半分こって…
思わず笑ってしまいそうなアイディアに、アタシは困る。
「あ、こんなところで食べるのもアレだよなぁ。」
いやいや、そういう問題じゃなくって…
でも、べつに悪くはない、かな?
「ってゆーか、一緒に外で食わね?おれと…」
顔を真っ赤にして言う先輩に、なんだかほっとけない気持ちになる。
前にも一度だけ見た事がある、この赤い顔。
だけど、前に見た時とは何か違う…
「あ、友達待ってるんだっけ?」
先輩は思い出したように言う。
あ、忘れてた…
誰かがアタシを待ってる、なんて状況は滅多にない。
ついつい頭から飛んでしまう。
そこに良いタイミングでアタシのケータイが鳴った。
「あ、聞いてみますね?」
教室でアタシを待っててくれてる一人。