KAGAMI


なんだかおあずけをしてる犬みたいだ。

「うん、そうする。じゃあ後でね」

と言ってアタシはさっさと電話を切った。
お腹が空いてたのもあるけど、これ以上先輩を待たせるのも可哀想だと思った。

『頑張れ、莉麻!』

なんて言われて、電話を終える。
何を頑張れっていうの?
って言おうと思ったけど、これは先輩の目の前で言う事ではないと思った。

「友達、なんだって?」


高杉先輩から、おずおずと切り出した。

「行ってきなって。どこで食べます?」


今まで心配そうな顔だった先輩は、ぱぁっと表情を明るくして言う。

「やったぁ!」

はにかんだ顔から、真っ白な歯が覗いて何故かドキっとした。


「じゃあ、行こう!人が来ない所知ってるんだ!」


人に見られたら、まずいのか?
別にアタシは見られても構わないけど…


むしろ、想太くんに見て欲しいかも。
想太くんはアタシが先輩と居るところを見たら、どう思うかな?

ヤキモチ、妬いてくれるのかな?
告白された相手、だもん。

想太くんにとって、片平さんと同じ。



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