KAGAMI

「はい、半分こ!このパンうまいんだぜー?みんなこのパン狙い!」


にかっと笑う先輩。
それにアタシも笑う。

「3日ぶりに買えた!」

嬉しそうに話して笑う先輩。
それに、アタシも笑って返す。


「赤澤ってさ、よく笑うよな」

そんなアタシの顔を真剣し見て、話す先輩にさっきまでの無邪気さは無い。

「それは先輩ですよー!」


アタシは、笑わないよ?
学校でだけ。


「え、そう?」

先輩は言った。


きっとこの人の言葉に嘘は無い。
ひとつもない。

「先輩はいつもへらへらしてる」

アタシはふざけて言った。
何にも知らないけど。

だって「いつも」なんて言える程学校に来てないもん。
先輩を毎日見てるわけでもない。


「違うよ、赤澤の前でだけ。」


この言葉も、きっとホント。



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