KAGAMI
アタシは…
「そう、なんですか?」
「うん。君の前だと、余裕が無くなるんだ…」
恥ずかしくなる。
きっと今アタシは、顔が赤い。
それを隠したくて、渡されたパンを頬張った。
「あ、美味しい」
思わず零れてしまった言葉。
会話になってないのに…
「だろ?!オススメなんだ!」
なのに先輩はアタシの言葉に合わせてくれた。
照れくさいこの空気に、先輩も耐えられなかったんだろう。
「このパン作った人ホント神様!」
また先輩はニカっと笑った。
「おれ、このパンの為に午前の授業頑張ってるようなもんだ!」
この笑顔、好きだなぁ…
なんとなく、想太くんに似てる。
笑うと無くなる垂れた目とか、想太くんそのものの様だ。
でも違うのは、常に優しそうに垂れてる目。