KAGAMI


「好き」

想太くんはそう言ってくれた。
すぐに言ってくれた。


それだけで、全てがどうでもよくなる。
アタシの世界が、想太くんを中心に合わせた。


「ねぇ、片平さんに1度もキュンとしなかった?」


だめだよ、想太くん。

「それは、アタシの幸せじゃないよ。」


もう怒ってないけど、責めるような口調で言った。
珍しく、想太くんが弱気なんだもん。
いつもの仕返し。

ここまでくれば、機嫌を直すのは簡単。

アタシの気分次第で、想太くんは変わる。


「隣に居ろって言ったのは想太くんでしょう?目を離したら、どっかに行っちゃうんだから。そんなのダメ。想太くんはアタシので居てくれなくちゃ。」


これは、ヤキモチ。
アタシがすぐ不安になっちゃうこと、覚えておいて欲しいの。

何度も好きだと、言って欲しいの。


「ちゃんと掴ませてよ、想太くんの心。やっと届いたんだもん。届いたばっかりなんだから、まだまだ全然足りないんだから。アタシの想太くんで居てよ。」


挑発的な目をしてみた。


< 269 / 276 >

この作品をシェア

pagetop