激愛パラドックス
わっ…、ヤバイ。


「あぁ、見えないんだろ?」



とてつもなく、胸が激しく動くのを悟られないように、落ち着かせながら話す。


「…はい、両方失くなっちゃったんで…」


両方?どんな風に取れたのか聞きたかったけれど、半ベソかいたこの可愛すぎる物体に聞く勇気は出なかった。


「…あの、レンズに黒く縁取りがあるんで…」


「分かった」



暫く探していると、可愛い物体の側に一つコンタクトが落ちているのを見つけた。


「…あった!」


「本当ですか…?」


「あぁ、お前の近くにあった。手出して」


「…はい」


素直に掌を向ける姿に、思わず笑いそうになった。


「わっ、本当だ!ありがとうございます」


……?


コンタクトを受け取った方の手の袖に、何かがくっついている。


「…あっ、もう一個見つけた!」


「えっ?」っと言って動こうとする君を静止させる為に手首を掴んだ。


細っつ!!


あまりの細さに握る力が緩んだ。




< 19 / 118 >

この作品をシェア

pagetop