激愛パラドックス
そのままカチコチに固まった君から袖に付いたコンタクトを取った。


「…はい、良かったな」

「あっ…ありがとうございましたっ!」



「あいよ」



体を起こして屋上に行こうと方向転換をした直後、バタンという物音が聞こえて振り返った。



「…タタタタタッ」


「大丈夫かよ…?」



何コイツ…、危なっかしいんだけど…。



「大丈夫です、すみません」




パタパタとスカートに付いた砂埃を掃うと、壁をつたいながら歩き出した。



「コンタクト付けねーの?」



「…いや、あの。洗浄液がなくて…」



「無いとダメなわけ?」


「…ゴミ付いてると痛くて入らないんで」



知らなかった…。



ダッシュで教室に入ると、篤史のスポーツバッグから洗浄液を見つけ出した。



…これかっ。



練習中にたまに「ゴミが入った」と言って、変な液体で洗ってるとこを見た事があったんだ。



目が悪い奴も大変だよな……。







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