激愛パラドックス

「だから、余計なことすんなよ」



腑に落ちない様子の篤史から逃れるように、机に突っ伏して話題を強制終了した。








あの日から俺が何気なくグラウンドから見ているなんて知りもしないキミは、今日も普段と代わりなくグラウンドの横を通り過ぎて行く。


「…翔先輩、意外に女々しいっすね」



背後から低い声が耳に響いて振り向くと、雅也がニヤニヤした顔で現れた。



「別に、そんなんじゃない」



「ユキ、モテますよ?昨日も違うクラスのヤツに告られてましたよ」



「…あっそ」



気にしていないそぶりを見せてるけど、内心は焦ってばっかだった。




「このまま見てるだけで良いのかな?ユキちゃんが他の虫に喰われちゃうよ?」



「うおっ!?」



横から現れた篤史に、心臓が波打った。



お前等の方が、虫じゃね?
二人とも、急に湧いてくんなよっ!



「アイツ、結構愛想良いし勘違いして勝手に恋しちゃってるヤツたくさんいますよ」








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