激愛パラドックス
「ユキ〜、カラオケ行こう!?」
「あっ、うん」
好と二人で校門に向かう途中にあるサッカー部のグランドをふと見ると、ユニフォームを着た部員が練習を始めているところだった。
フェンスの周りには、たくさんのギャラリーが黄色い声援を送っている。
今まで気にしてなかったから知らなかったけど、好の言う通り、サッカー部ってかなりの人気みたい。
好とカラオケを終えて店から出ると、外は真っ暗になっていた。
「…さすがに20時は暗いね?」
空を見上げて好が呟くように言う。
「だね…。久々に4時間以上も歌ったよ」
喉がガラガラで、スナックのママみたいだ。
「何?その声!?」
「…弾けすぎた…」
好のマシンガントークを聞き流しながら歩いていると、角から同じ高校の集団がゾロゾロと出てくるのが見えた。
「あっ、サッカー部じゃない?」
好の声に、私達に気付いた部員の一人が顔をこちらに向けた。
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